X線探査は、コンクリートに対してX線発生器からX線を照射し、コンクリートの裏側に貼り付けたフィルムに内部の様子を写しだす方法で、
医療用に使われているレントゲン撮影と原理は同じです。
現像処理をしたフィルムでコンクリート内部の状況を確認できるので、それをもとににコンクリート表面に埋設物の位置を罫書きます。
これによりコア貫通やアンカー工事などで、埋設された電気・設備配管、鉄筋を損傷・切断することなく施工することが可能になります。
その他、ジャンカや配筋調査、PC鋼材のグラウト充填部や鋼材腐食による断面欠損の調査も可能です。
作業手順
事前に確認していただきたい事項はこちら
エックス線撮影に必要なスペース
エックス線撮影においては、対象となるコンクリートの両面にスペースが必要です。
一方は、X線発生装置をセットするためにRC面から約1mにわたり、250mm×600mmのスペースが、もう一方はフィルムをセットするため、フィルムを貼れるスペースが必要です。
フィルムの寸法は、254×305mm(四切サイズ)です。フィルムは折り曲げてセットすることはできませんのでご注意ください。
また、天井内での壁などを撮影する場合、X線発生器(約600mm×250φ)を天井内に運ぶため、400×400mm以上の大きさの点検口があり、人が入っていけるスペースが必要になります。
エックス線撮影をする場所で、100V(15A以上)の電源があるかどうか
装置は200Vの電源が必要ですが、100Vの電源があればトランスの使用により
操作可能です。全く電源がない場合は発電機が必要になります。
撮影対象となるRCの厚さ
埋設のCD管を判別するには250mmぐらいまで、鉄筋や鉄製の電気配管を判別できるのが300mm程度までです。
撮影中心位置の確認(墨だし)
床がデッキの場合、裏面の中心位置の特定がうまくいかずにかなりの作業時間を費やすことがしばしばあります。お客様のご協力により裏面についても中心位置を説明していただき、できれば墨だしをしていただけますようよろしくお願いします。
暗室装備車輌の駐車スペースがあるかどうか
高さ2.0mの車輌内で撮影の都度フィルムを現像します。そのため、車輌が全く離れた場所では作業時間が大幅に遅れてしまいます。また、現像の際に車内で電気が必要となる場合があるので、エンジンをかけられる場所であるか、あるいは近くに100vの電源があるかご確認ください。
エックス線(電磁波)に影響する機器があるかどうか
使用するエックス線発生装置のエックス線は電磁波です。特に電磁波に敏感な機器がある場合は、移動可能なら事前に退避させておいて下さい。
医療機関では、エックス線に影響するもの(フイルムバッジ等の放射線測定器、イメージングプレート、未使用のフイルム等)には影響が出ます。必ず事前に伝えておいて下さい。
立入禁止区域についてはこちら
立入禁止区域について
X線探査を実施する場合の立入禁止区域については以下の図をご参考にしてください。
遮るものが何もない場合
X線発生器の焦点中心に半径5m(フィルム側は1m)
コンクリートの壁や床がある場合
X線は遮られ、その部分は5m以下となります
鉛でX線発生器を養生した場合
X線は遮られ、立入禁止区域は狭くなります
(コンクリート厚により出力が変わるので、線量計で測定し、立入禁止区域を設定)
フイルム画像はこちら
電線管・電線
躯体調査
シース管のグラウト充填状況の確認